2016年3月9日水曜日

教育動向: 2016年大統領選候補者の教育政策-テッド・クルーズ(共和党)

アメリカの教育動向(久原みな子)

 今年11月8日に予定されている大統領選挙を前に、民主党・共和党各党内での候補者の教育歴と教育政策を紹介するシリーズ第3回。今回は、「トランプ降ろし」が進められるなか、対抗軸となることが期待されているテッド・クルーズ(Ted Cruz)を紹介する。

Ted Cruz


 クルーズは1970年にキューバ移民であった父が働いていたカナダ・カルガリーで生まれた。のちに米国に戻り、テキサス州で育った。プリンストン大学で公共政策を学び1992年に卒業したのち、ハーヴァード大学ロー・スクールを1995年に卒業。プリンストン時代は、ディベートで活躍した。その後、連邦裁判所の調査官などを経て、2000年の大統領選に出馬しようとしていたジョージ・W・ブッシュの選挙キャンペーンに政策顧問として加わり、2003年にテキサス州の訟務長官となり地元に帰るまでブッシュ政権下で働いた。任期の切れた2008年からは法律事務所勤務に戻るが、2012年テキサス州の連邦上院議員となった。小さな政府をうたい、保守的な政策でキリスト教右派、ティー・パーティーの支持を増やしながら活躍してきた。

 教育政策に関しても、基本路線は変わらない。まず、連邦教育省の撤廃を訴え、コモン・コアをはじめとする連邦政府によるあらゆる規制・管轄には反対している。昨年12月に成立したESSA(Every Student Succeeds Act/すべての生徒が成功する法)は、教育に関する権力の一部を連邦政府から州政府へと委譲しようとするものであるが、連邦政府の権力を撤廃するものではないことから、クルーズは反対している。また、学校選択とバウチャー制度には積極的であり、2013年には自身の議員給料をYES Prepというチャータースクールのネットワークに寄付している。

 私生活では、ブッシュの選挙活動で知り合ったハイディ・ネルソン・クルーズと2001年に結婚。のちに娘が2人生まれた。ハイディは結婚後もブッシュ政権下での政策立案をしていたが、テッドのテキサスでの政治活動を支援するためにホワイト・ハウスでの仕事を諦め、テキサスのゴールドマン・サックスに転職した。今回の大統領選では最も輝かしいキャリアを持つファースト・レディ候補である。

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