2017年3月18日土曜日

教育動向:トランプ政権が予算案を発表、教育予算をカット



アメリカの教育動向(久原みな子)

トランプ政権は3月16日、「アメリカ・ファースト」と題した2018年度連邦予算案を発表。大幅な軍事費増加を提案するとともに、教育省予算は今年度のおよそ13.5%減(約90億ドル減)となった。教師教育、始業前および放課後の活動支援、低所得者向けの奨学金プログラムなどへの財政支援が削減あるいは廃止される一方で、学校選択制を拡充させるためのプログラムに約14億ドルが追加された。これにより、チャーター・スクールや私学進学に使用できる教育バウチャーへの支援が強化される見込みである。

また、同予算案は、様々な芸術活動とその普及・教育に対して全米最大の資金提供をしている全米芸術基金(the National Endowment for the Art, NEA)と、図書館、博物館などの各種文化施設や大学、公共テレビ・ラジオ放送局、人文科学系研究者などに幅広い財政支援をしている全米人文科学基金(the National Endowment for the Humanities, NEH)の撤廃も提案している。

2017年3月17日金曜日

教育動向:NEAが連邦最高裁判事に指名されたゴーサッチ氏に懸念表明



アメリカの教育動向(久原みな子)

米国最大の教師組合である全米教育組合(NEA)は、トランプ大統領が欠員の出ていた連邦最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチ氏の上院司法委員会での指名承認公聴会を前に、もし彼が承認されれば障害を持つ生徒の権利とその教育が危機に陥ると結論づけたレポートを発表した。また、精神障害を持つ人々の権利の擁護と促進を目指しているバゼロン・センター(Bazelon Center for Mental Health Law)も、同様の趣旨のレポートを発表した。両レポートともに、これまでゴーサッチ氏が連邦第10巡回区控訴裁判所判事としてかかわってきた判決を詳細に分析し、彼がほとんどの判決で障害のある個人の教育法(The Individuals with Disabilities Education Act (IDEA)をはじめとする法律を障がいを持つ生徒にとって不利になる方向に解釈し、それらの法律によって守られるべき権利を逆に侵害してきたと主張している。

終身職である最高裁判事の現在の構成は、保守派とリベラル派が4人ずつとなっており、保守派の法律家として知られるゴーサッチが承認されれば、今後、様々な教育関係の裁判を含め保守派優勢の判決がなされていく可能性がある。なお、ゴーサッチ氏の指名承認公聴会は3月20日から始まる予定。